何を見て誰が浮かばれる? 翻弄される自転車と人の行方

何を見て誰が浮かばれる? 翻弄される自転車と人の行方

最初に言っておく。今回の話は「冷静になって」ご覧いただきたい。

東京都府中市では、府中駅前に設置されていた自転車置き場が2019年2月に廃止となった。この置き場というのは、歩道上で短期間の駐輪のために市が設けたもので、周辺駐輪場が整うまでの一時的なものだった。

この度、周辺に駐輪場の設置が完了したということで廃止となったのだが、十分な説明が市民に無かったと反発の声が挙がっている。

廃止ねぇ…その人がどのような経験をしたり、状況にあったりするかで、賛否が変わると思う。オイラは「安全面」の理由から賛成。ただ、実情を見ると、おかしな方向に動いているようにも感じられる。

そもそも、この置き場は本来「歩道」であるため、歩行者優先の原則が働く。自転車を置くと、当然ながら「動線」が変わってしまう。府中市の動線は、中心部も郊外も、お世辞にも良いとは言えないからなぁ。

この場所ではないが、オイラも2018年に市内の歩行者優先の歩道で、自転車に当て逃げされた。検証に当たった警察官からも「歩行者優先の原則が守られていない」と嘆く声が聞かれた。

歩行者の動線を確保するという点から見れば、駐輪場が設置された以上、この場に停めることを良しとするのは難しいのではないだろうか。

また、正式な駐輪場というものは「保険」の役割を果たしていると考える。雨に濡れた、倒された、傷つけられた、盗まれた…というリスクを回避出来るのも、正式な駐輪場の利点ではないだろうか。

監視員があったとは言え、路上駐輪は屋内や屋根のある場所での駐輪よりも心配ごとが増えるのは容易に想像出来る。無料だったのが有料になったとしても、それは「保険料」と考えても良いと思う。

つまり、歩行者にとっても自転車を利用する方にとっても、安全が担保された専用かつ正式な駐輪場が設置されたと考えれば、賛成に回るべきところである。

ただ、その駐輪場に問題があるという声も聞かれる。アクセスが悪い、暗い、階の登り降りが大変…これらは見過ごせない問題だろう。どうしてこうも「動線」を上手く見越した作りにしないのかねぇ? 

そのような状況にあって「駐輪場があるのだから我慢しろ」と言い放つのはオイラも気が引ける。ただ、案内板を表示したり、明るさを変えたり、スロープや誘導員で出入庫をサポートしたり…というのはあっても良さそうだ。

ご予算をどう考えるか?だけど、自転車を利用する方の安全な利用(出入庫)を考えた改良に、費用や労力を充てても良さそうなものだ。

あと、見過ごせない問題として、今回の廃止を「景観」の面で考えようとする姿勢が一部で見られることが挙げられる。周辺の景観を重視した…安全面ではなくて?…だ。

確かにあの周辺には神社があって、欅の大木があって、祭りも賑わって…なんだろうけど「人が行き交う場」でもあるのだから、景観ばかりでなく安全面にも最大限の配慮をするべきではないだろうか?

歩きづらい、自転車も使いづらい…となれば、その景観を楽しむ足も遠のくってものだろう。あと、病気やケガひとつ無い健常者だけが、その周辺を行き交う訳ではないことも忘れてはならない。

本日(2019年2月22日)で、一時駐輪場の廃止から10日を迎えた。廃止になったものがすぐに復活するということは無いだろう。状況が悪いとされる駐輪場をどうするかによって、この問題は暫く尾を引きそうだ。